「確定測量の必要あり」と不動産会社に言われたら(1)
土地と土地付きの戸建てを売買するとき、境界の確定はとても重要になります。土地の面積に直結するとともに、不動産の価値が決まってくるからです。一方、トラブルが起きやすいのも境界に関するものが多く、不動産業界では「マンションの取引は境界がないので楽」と囁かれるほど。では、土地や土地付き戸建てを売却したい売主様は、どこに気をつけたらいいのでしょう。今回は、境界について見ていきましょう。
境界を明示する義務
土地と土地とを区切る境界線は、地図には存在しますが、実際の目には見えないもの。そこで、隣地との境目を示すための目印として設置されるのが「境界杭(きょうかいくい)」と呼ばれる杭や、境界標「(きょうかいひょう)」と呼ばれる標識です。実は、これらが失われているケースが少なくありません。
境界杭が失われた状態であっても、多くの場合、売買契約は土地登記簿に記載された数値を元にした「公募売買」で進めていきます。とはいえ、それは「境界杭を打たなくてもOK」ということではありません。後日、確定測量を実施して境界杭を再現することが前提だからです。
売主様は、物件を引き渡す前に境界を明示する義務があります。引き渡し日より前に売主様や買主様、不動産会社などの関係者が集まり、測量図を見ながら境界を明示しなくてはいけません。その際、境界杭が失われていたり、不明な箇所があるのは許されないわけです。
しかし、良からぬことを考える不動産会社も。公募売買であることに加えて、特約として「売主は確定測量を行わないものとする」を加え、境界を確定させるための現況測量を実施しない会社が現れたのです。
これをやると住宅ローンの利用に問題が生じます。買主様が購入のために住宅ローンを利用したいと思っても、境界が確定していない土地では審査が通らないからです。そのため、そんな乱暴なやり方をする不動産会社は少なくなってきました。とはいえ、現金決済で住宅ローンが介在しない場合、確定測量を実施しない会社も。安価な土地にこのようなケースが多いので、購入の際は注意しましょう。
境界杭や境界標は思いのほか消失しやすいものです。金属製のプレートや鋲などは、設置から年数が経過すると埋まっていたり、なくなっていることが多くなります。また、境界を明示するために設置されるのが境界杭や境界標ですから、欠けていたり、傷んで位置が識別できないものは認められません。
起こりがちな隣地所有者とのトラブル
確定測量では、隣の家、つまり、隣地の所有者と揉めてしまうことがよく見受けられます。たとえば、現地で隣地の所有者立ち会いのもと境界を確認する際に、「代々ウチの土地はここまであるはず」などと主張してくるのです。
そういう人に限って、きちんと測量した上で「間違いなく境界はこのラインです」と言っても、「そんなはずはない。この塀までがウチの土地だと祖父から聞いている」などと引きません。納得してもらえないまま、話し合いを続けるうちに時間が経過し、引き渡し日の延期を余儀なくされたような事態も多くはありませんが起こっています。
また、隣の家の一部分が売主様の土地に越境しているようなケースもよくあります。測量してみたら隣の家の塀などが売主様の土地にはみ出していた、などがそれ。このような場合の解決策としては、まず、買主様に事実を伝えることです。たとえば、「隣の家の木の枝が越境しています」と、重要事項説明書に明記したりして、ありのままを伝えます。
現地をあるべき状態に即刻回復させることは実際には難しい場合がほとんどでしょう。木の枝を伐採してもらうことくらいならできるかもしれません。しかし、塀の撤去などとなれば大変です。言い方によっては新たなトラブルが発生しかねません。
そこで、売主様と隣地の土地所有者が話し合い、たとえば、「建て替える時はきちんと境界を守ること」と約束を交わし、覚書を交換するやり方がよく行われます。もちろん、買主様に事情をきちんと説明し、納得してもらうことが不可欠です。
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